飴玉がりがり

輪るピングドラムを噛み砕く記録

氷の世界<輪るピングドラム考察>

輪るピングドラム第9話「氷の世界」

 

…の、タイトルについて思ったことなんですけどね。

 

この「氷の世界」というフレーズを聞くと、井上陽水氏の同名曲を思い出す。

そういう話を小耳に挟むこともありました。

 

歌詞を見つつ曲を聴いてみると、ああ確かにリンゴ売り…ピンドラっぽい…。

なるほどなあ、これも元ネタの可能性として一理ある。

 

その説に納得しつつも、私にはもう一つ思い浮かぶものがありました。

それが「無意識」(という名の深層意識)。

 人間の意識は海に浮かぶ氷山に例えられるのですが、9話に登場する中央図書館そらの孔分室が、まさにその氷山のようだな、と思ったのです。

ざっくり説明すると、人間の「意識」は海面から上のいわば「氷山の一角」に過ぎず、また、海面より下の領域は広大な「無意識」が広がっている、というもの。

(もっと言えば意識と無意識が混ざり合うような領域を「前意識」とも呼んだりするらしいですが、今回はあんまり関係ないのですっ飛ばします。詳しく知りたい人は調べてみてくださいな。)

氷山の例えについてはこちらのサイトや、
精神分析入門」等の関連書籍を読んで頂けるとわかりやすいかと思います。丸投げでごめんよ。

 

話を戻します。

キーワードは「深層意識」。(とか言ってみる)

「もっと奥へ。もっと深い所へ参りましょうか。」

そう司書の眞悧が導き、 図書館の下層へ進むごとによみがえる陽毬の過去の記憶。

しかし目覚めてみるとそらの孔分室での出来事はほんのひと時の夢。いやもしかしたら、陽毬が一度死んだあの時に体験した記憶の一部だったのかもしれない。

フロイトの「精神分析入門」によると、「夢」というものも無意識の領域から作用して起こり得ると考えられているそうな。もう無意識と記憶と夢は切り離して考えられないや…。

 

この回で浮かび上がる謎は、概ね第20話にて解き明かされることになるかと思うのですが、「氷の世界」というタイトルは

・そらの孔分室が深層世界であることの比喩であり、

・同時に20話の内容(陽毬の過去)を示唆しており、

・また、20話の舞台となるこどもブロイラーも深層意識と関係があるということを示唆したものだった

…のかなあ、と今になって考えてます。

 

 余談ですけどこの9話、物語を読み解いていく中で、途中水の音みたいなエフェクトがかかるんですけど、ああ~~深層意識潜ってるなあ~~!という気がしてならない。(語彙力の欠如)

こんなところで今日はおしまい。